5月26日、一般財団法人山本美香記念財団の第四回「山本美香記念国際ジャーナリスト賞」授賞式とシンポジウムが日本記者クラブにて開催されました。

受賞したのはフォトジャーナリスト・林典子氏による、イラクのヤズディ教徒を追った写真集、『ヤズディの祈り』。また、シリアで2年近く拘束されているジャーナリスト・安田純平氏に、「山本美香記念国際ジャーナリスト賞・特別賞」が贈られました。

林典子さん本

受付脇で販売されていた『ヤズディの祈り』。造本も美しい本です。

林典子さん本2

本のそばに置かれていた写真。できあがった本を取材した方がご覧になっているところだそうです。2人の表情が印象的です。

林典子さん

佐藤和孝さんと林典子さん。

この授賞式の様子はニュースでご覧いただけます。
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20170526-00000102-nnn-int

また、林典子さんの言葉は山本美香財団のHPにあります。
http://www.mymf.or.jp/topics/news_2017-05-23.html

印象的だった言葉です。
「紛争地に生きる市民が撮影した惨劇の映像や写真が、ほぼリアルタイムで絶えず日本に暮らす私たちの携帯電話やパソコンの画面を通して表示されるようになった今、戦場の存在が独特な距離感を保ちながらも「日常化」し、そんな中で現場に向かうジャーナリストや撮影者が、どう目の前の問題に向き合って伝えていくのかが今後さらに問われていくと思います。」

これは、私たち出版が現実にどのように向き合うかという課題でもあります。

実は、私は2013年の朝日新聞人欄で紹介された林典子さんの記事を切り抜いて持っていました。国際的な賞を20代で受賞なさったときの記事です。それから林さんのHPを拝見しつつ、どのような写真を撮ってらっしゃるか意識して拝見していたのです。
ですから、昨年本(『これから戦場に向かいます』)をつくることでご縁をいただいた美香さんの賞を林さんが受賞なさったことは、とてもうれしかったのです。

『ヤズディの祈り』の写真ページには文字がなく、取材した方々のことや写真の背景はうしろにまとまって説明されています。林さんもおっしゃっていましたが、写真のそばに文字がないので、どのように見ればいいのか最初はとまどいますが、そのうちに人々の表情や写真全体に流れるストーリーにひきこまれます。地味なように見えても、それだけの力のある写真です。ぜひ、多くの方にご覧いただきたいと思います。

今回の授賞式で受賞された安田純平さんは、2015年6月下旬、内戦取材のためにシリアに入った後、反体制派武装組織に拘束されているジャーナリストです。2015年5月に本人と見られる画像がインターネット上で公表され、報道されました。
安田さんへの授賞は、ジャーナリズムのありかたを世に問う意味合いでもあったと思います。林さんは「そこに暮らす人々のことを知りたい。そして伝えたい。」という気持ちが取材の原動力とおっしゃっていましたし、美香さんも「伝えたい」「伝えなければいけない」という言葉を遺されました。

本をつくる私にとって大切な言葉です。