身近な自然と子どもの本と

ぜんぶわかる!トンボ

トンボ表紙

しぜんのひみつ写真館7

『ぜんぶわかる!トンボ』
尾園 暁 著
二橋 亮 監修

 

トンボの本
本シリーズも7冊目になりました。
学校で飼育している生き物は何だろうと考えたとき、ヤゴを育てている学校があることを思い出しました。調べてみると、プール掃除のとったヤゴを、教室でペットボトルを使って育てている学校が数多くあります。
しかし、トンボといってもいろいろな種類があります。
そこで、トンボを中心に活躍している昆虫写真家の尾園暁さんに相談したら、
「オニヤンマ中心でいきましょう」というご提案をいただきました。
オニヤンマは大きくてかっこよくて、図鑑などには欠かせない昆虫です。
「オニヤンマの本ってありませんでしたっけ」と思わず言った私に尾園さんは
「オニヤンマは幼虫時代が長くて撮影が大変なので、本になっていないと思いますよ」
調べてみたらその通りで、ほとんどの本にオニヤンマは登場していますが、
成虫の姿ばかり。成長の様子がわかるものはありませんでした。

トンボの本4

1980年代からのトンボの本。アカトンボ、ギンヤンマがほとんどで、オニヤンマというタイトルはありませんでした。

著者のこと
そんなふうに面白い提案をしてくださった尾園暁さん。
ポプラ社の「WONDA」シリーズ『昆虫』でお世話になった昆虫写真家です。
尾園さんは、トンボを中心にさまざまな昆虫写真を撮ってらっしゃる方で、
ブログ「湘南むし日記」は、ほぼ毎日更新。昆虫の写真やキャプションのつけ方も面白く、カメラの話題なども登場し、すごいな〜と思います。また、とてもアクティブでどこにいらっしゃるかを確認するために、ブログを拝見していたほどです。
尾園さんはむしの他に「金魚のめがね」というページを持ってらっしゃいます。
びっくりするほど美しくかわいい金魚の写真を見ることができます。

監修の先生のこと
尾園さんにトンボの本をつくりたい、というお話をさしあげたとき、いちばんにおっしゃったのが「監修を二橋亮さんにお願いしたい」ということでした。お聞きすると、尾園さんは二橋先生と中学時代からトンボ仲間だったとか。
一緒におつくりになったフレーベル館「とんぼ
」を見せていただきました。

トンボの本3

ギンヤンマが主人公です。

トンボの本1

今回、参考にした本。トンボの本の決定版です。

お二人の信頼関係が、なんと頼もしかったことか。
二橋先生はアイデアの豊富な、それでいて細かいところをきちんとご覧になる監修者でした。トンボの本はなんといってもトンボの種類が多くて編集は大変だったのですが、取り上げる種類に偏りがでないよう、そして説明のない種類がでないよう、隅々まで見てくださいました。

オニヤンマは大きすぎ?
最初の打ち合わせのとき、オニヤンマですすめようと思います、と二橋先生にお話したとき「電子顕微鏡だとオニヤンマの頭は入らないかも」と言われ、びっくり。
オニヤンマが大きいことは知っていましたが、そんなに大きい?
二橋先生からは、3章の「調べてみよう」はシオカラトンボで進めることをご提案いただきました。
そうしてシオカラトンボで撮っていただいたページです。

52-53*

見事なシオカラトンボの顔。立体感もすごいです。そして、こんな顕微鏡写真、ご覧になったことありますか?

MSM32x30

はねの顕微鏡写真。脈でしきられてでこぼこがあります。トンボの飛行技術はここから生まれます。。

MSM12x30

上から見たところ。本に掲載できなかった写真です。

トンボをどのようにわける?
トンボと一口に言っても、種類はいっぱいいます。私たちは気づいていなくても、身近なところにも、たくさんの種類がいます。それをどのようにして子どもたちに紹介するか。トンボの分類に従えば、整理されたページをつくることができます。
でも、それは調べにくいし、他の本でも行われていることです。
そこで、著者の尾園さんに「直感的にわかる区分けってだめですか?」とお聞きしたら、「やってみましょう」とおっしゃって、色別、特徴別のトンボのリストをつくってくださいました。今回のページ構成はそれをもとにしています。

42-43*

赤いトンボのページ。赤くならないアカトンボのなかまなど、別に掲載しました。

50-51*

絶滅危惧種、天然記念物などを掲載したページ。小笠原諸島は、尾園さんが継続して取材しているところです。

大変だったヤゴの写真
今回の本のなかで私が好きなページです。

58-59*

ヤゴについてのくわしい本って案外少ないのです。

右ページのヤゴの泳ぎ方のページは画期的! こんな情報を見たことはありませんでしたし、そのヤゴたちのかわいさに脱帽!でした。
でも、このヤゴ、ずっと観察していたシオカラトンボのヤゴが死んでしまい、尾園さんはネキトンボで撮り直してくださるなど、さいごのさいごにいただいた写真でした。

子どもたちにはこのヤゴの面白さを知ってもらいたいな、と思っています。

悩んだ表紙
表紙は悩みました。オニヤンマはかっこいいトンボですが、飛んでいる写真はバックが少し暗く、表紙にするより中面で大きく見せたいと思いました。
そこで、止まっている写真を表紙にしてみたら、横顔がくっきりとしてかっこいい!
なんといっても、オニヤンマの緑色の眼は迫力があります。
裏表紙には、空を感じる写真とかわいいトンボの写真。
どれも著者のトンボへの愛情を感じる写真です。

トンボジャケット

本にする前の校正です。

くわしくて使いやすい本を
今回、トンボのことがくわしくわかり、使いやすい本をめざしました。
そういう意味では既刊と少しちがうつくりです。
子どもの本だけでなく、大人の本まで含めてもかなりくわしいトンボの本になったと思います。と同時に、くわしくてわかりやすい本をつくることの難しさも痛感しました。
そして、小学校高学年が求める本とは何か、についても考えさせられました。
本の役割は知識の移動、そして感動の共有です。
できるだけ多くの人にトンボのかっこよさ、美しさ、面白さを知ってほしいと思います。

 

 

 

 

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